相対論的な渦の散乱 4
相対論的な渦の散乱 4
参考文献
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さて、今度は同種の渦、すなわち渦と渦の衝突の様子を観察してみよう。先ほどまでは渦と反渦の衝突だったので衝突の後消滅してしまう運命にあったが、渦と渦は衝突しても消滅することは無く、常に
1+1=2
のように、衝突の前後で渦度が保存されるため衝突後も2つの渦が残る。
このように、渦と渦は十分に勢いを付けて衝突させると衝突するが、衝突しても消滅することはなく、衝突前と同じ数の渦が残ることが分かる。衝突前の渦が近づく速さに比べ、衝突後の渦が遠ざかる速さは幾分遅くなっているように見える。これはゼロ質量の波がエネルギーを持っていってしまうからである。
また衝突の前と後で90度進行方向がずれるという大変特徴的な性質をもつことが分かる。このことは様々なトポロジカルソリトンに共通する性質であり、応用上も大変重要であることが知られている。
ところで、二つの渦は全く同じものであり区別することが出来ない。したがって衝突前に左側からやってきたものと右側からやってきたもののどちらが下側へ飛んでどちらが上側へ飛んでいったかということを考えることは物理的に意味が無い。
つづく
衝突の瞬間
90度方向が入れ替わる
衝突点にエネルギーが残っている
二つの渦が離れて行く
また中心部に溜まっていたエネルギーが分散していく
山が二つに分かれ始めている
(真ん中にあったエネルギーが渦に追いついた)
真ん中にあったエネルギーが渦を追い越したような感じ
衝突の余波がおさまり二つの渦が残っている様子が見て取れる