非平衡科学とトポロジー
非平衡科学とトポロジー
山形大学 理学部 研究クラスター
Since 2017.04.01
新井 真人 (理学分野)
専門は素粒子理論物理学。超対称性理論を軸として研究を行っている。特に、超対称性の自発的な破れについての研究、超対称性を用いた複素多様体の構築、超対称性を記述する超場形式についての研究、超対称性理論におけるトポロジカル・ソリトンとそれを用いた余剰次元理論の動的な実現などの研究に焦点を当てて研究を行っている。また、これらに加えて、宇宙初期に起こったとされるインフレーションを説明する模型やバリオン数生成などの宇宙論の研究や余剰次元理論の現象論的研究も行っている。趣味は、ロードバイクによるツーリング、温泉巡り、旅行。
本クラスターの狙い
あらゆる物質は自然法則に従った時空間構造を自発形成する。特にエントロピーの連続的生成を伴う非平衡・非線形ダイナミクスは興味深く、化学、生物学、地球化学、宇宙・素粒子・物性物理学など、時空間スケールが全く異なる理学の諸分野に共通する散逸構造・物理法則・数理構造を発現させる。本クラスターはミクロからマクロまでの自然界の豊かな時空間構造に潜む普遍原理の発見を目指す。特に非平衡・非線形・トポロジー・ソリトン等を機軸とした数理的手法・理論に基づく議論展開を具体的目標に掲げ、本学部の実験・理論・数値解析を融合した分野横断型萌芽研究の発掘を目指す。
研究テーマ
・非平衡条件下での時空間構造形成
・異なる時空間スケールをもつ現象の統一理解
・非平衡非線形現象とトポロジーの関係の理解
・その他
メンバー(五十音順)
衛藤 稔 (物理学分野)
研究専門は素粒子理論物理学。素粒子標準模型を超える新しい理論の構成を目指し、4次元以上の高次元時空・超対称性ゲージ理論・大統一理論などについて主に対称性・トポロジー・ソリトンを基軸とした研究を行っている。最近は冷却原子気体における多成分ボーズ・アインシュタイン凝縮体やトポロジカル物質などについても勉強+研究を始めた。他にも原子核物理や宇宙物理また数理物理的な研究もたまに行っている。趣味はロードバイクで山形の自然の中をサイクリングすること。
並河 英紀 (化学分野)クラスター代表
研究分野は、非平衡化学を中心としたコロイド界面化学、生物物理化学、無機材料化学、ナノ物性化学など多岐にわたる。特に、非線形非平衡空間と線形非平衡空間における分子自己組織化の相互作用について、反応拡散現象、人工生体膜、アミノ酸ホモキラリティー問題を機軸とした研究を展開している。また、自然科学・社会科学に共通して発現する時空間構造の形成原理についても勉強中である。最近の趣味は「化学」を「化学」からできるだけ遠い分野へつなげる方法を考えること。
方 青 (データサイエンス分野)
研究分野は偏微分方程式の数値解析。各種の自然現象や社会現象を記述する偏微分方程式を有限差分法、有限要素法、有限体積法などで数値解を求めるときの近似解の誤差評価を考察したり、より高精度な近似解を求める数値解法を開発したりしている。特に特異性の解をもつ偏微分方程式に対して有効な数値解法に対して興味を持っている。反応拡散現象のパターン生成や爆発現象などへの応用を試みている。最近の趣味は、スポーツ試合観戦、ウォーキングと温泉を巡る旅行。
松田 浩 (数学分野)
研究面では結び目があらわれるあらゆるものに興味があります。「幾何的対象をどのような代数的対象に対応させるか」
が大きなテーマです。
"(L')universo è scritto in lingua matematica."「宇宙は数学の言葉で書かれている」(『偽金鑑識官』より)
これは ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)の言葉として知られています。作家の池澤夏樹は講義録『世界文学を読みほどく』の中で「結局 自分たちに理解できる形で世界を理解しようとする、それが人間の知性であり、知性の限界なのかもしれないと思うのです。」と述べています。ガリレオ・ガリレイの言葉を信じる人に、池澤夏樹の言葉に近づいてもよいと知ってもらうことが教育面での目標です。
湯口 貴史 (地学分野)
研究専門は岩石学・鉱物学であり、花崗岩を対象とした研究を行っている。特に「花崗岩質マグマの発生から、貫入・定置を経て冷却固化に至るまでの一連のプロセス、および花崗岩体中の物質移動特性の解明」をメインテーマに位置づけ研究を継続している。また、岩体の形成プロセスに起因する割れ目発生メカニズムの解明を通して、応用地質学的(工学的)に貢献する研究も行っている。花崗岩中には様々な組織が発達しており、それらの解明は岩石が形成された際の多くの情報を記録している。本クラスター活動を通じて、新たな視点から組織形成メカニズムの再検討を行いたいと考えている。趣味はドライブと映画や海外ドラマの鑑賞。
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クラスター研究成果
[ 2018 ]
・Role of Nuclei in Liesegang Pattern Formation:
The Insights from Experiment and Reaction-Diffusion Simulation
Masaki Itatani, Qing Fang, Kei Unoura, and Hideki Nabika
J. Phys. Chem. C (in press).
DOI: 10.1021/acs.jpcc.7b12688